幸せのカタチ 最終話【個別リアクションD:国王と話す】
目に入れても痛くないとはこのこと
現代日本ではめったにみられないファンタジー感のある様式の王宮に足を踏み入れたのは3人。
突如現れた異界の者に混乱する王宮内を物ともせず、一直線に国王が鎮座する謁見の間へと突き進んで邂逅を果たす。
無作法者で申し訳ない、と一言添えただけで、3人はひとえに姫のためを思い、本題を切り出す。
「王様は姫様の結婚をどうお考えなのですか!」
口火を切ったのは【白井花】だ。
「どう、とは」
「他の婚約者候補もたくさんいたんですよね? その中であの浪費甲斐性なし……ゴホン! えー、お酒にお金を注ぎ込んじゃう人より、姫様のことをちゃんと幸せにしてくれる人がいいんじゃないですか?」
オブラートに包もうとして包めていない……いつでもどこでも白井花らしい発言に内心冷や汗を垂らす2人の同行者。
だが、王は気分を害するというよりもより一層思い悩む様子で頭を抱えて眉間の皺を深くする。
「やはり、貴殿たちもそう思うか……」
「あれっ?」
「儂も他の者が良いのではないかと姫に申したのだ。けれど姫がどうしてもあの者がいいと言って聞かん」
「……であれば、娘の父として、姫様のお心の添うお相手と連れ添わせてさしあげていただけませんか」
「うむむむ……」
国王の逡巡に周囲は見守るだけのようで、言葉をかける様子はない。
「もしかしてここでもう何度も繰り広げられた会話だったりして……」
「花ちゃん、しっ」
ぼそりと小声でつぶやいた白井花に、先ほど国王に言葉をかけた【北楯さくら】が噤ませる。
だがちょうど国王と彼らの間に位置するところで控えていた侍従らしき人には届いてしまったようで、ばちりと視線が合った。
咎めの一声でもかけられるかと思いきや、その侍従はまぶたを閉じ、こっくりと1回深く頷く。
(国王パッパは常識人だった!!)
(むしろ娘の押しに弱いな大丈夫か国王なのに!)
そんなふうに思われているとは露知らず、唸り続ける国王に対して3人目の陳情者である【新原修司】が口を開いた。
「なぁ王様。アンタも自分の娘だからわかってんだろ? あのじゃじゃ馬は変なのを無理に当てるより、好きにやらせた方がいいって」
「そうなんだよねぇ、あの子お転婆なんだよねぇ!」
「王、王。素が出ております! 抑えて!」
この国の王様は思ったより気さくな気質のようで、闖入者である3人はほっと胸を撫で下ろせたが、同時に傍に使える侍従たちの苦労は凄まじいのだろうな……と、異世界のいち平民の想像ではあるが同情せずにはいられないのであった。
担当:繭
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