青空まであと一歩 最終話【個別リアクションD:四季の森公園へ向かう】
雨の中で得るもの
四季の森公園。
ここにエルを探しにくるのは何度目だろうか。
他の場所にいるかもしれないのに、どうしてもこの公園が気にかかるのは、第六感が働いているのかもしれない。
この悪天候の中、公園のどこかで弱って動けなくなっているのかも…
そう思ったのは、叶探偵の調査に協力している者たちの中でただふたり。
雨が止まぬ中、傘をさしながら公園に戻り、きょろきょろと周りを見回す。
少し前に立ち寄った時には複数見られた人影も、今はかなり数が減っていた。
それでもまだ人がいるのは、ただ通りすがりか……と思っていたが、すれ違い際に親子の会話が耳に掠める。
「そういえば、ねこさん、痩せてかわいそうだったよね」
「え? ああ、さっき聞かれた猫さんのこと? 言われてみたらたしかにそうかもしれないわねぇ。綺麗な猫さんだったから、きっと飼い主さんが食べさせてあげているでしょう」
振り返って深堀りしようとしたけれど、運悪くすぐに曲がり角の影に隠れてしまい、見失ってしまう。
やはりここにエルは確かに来ているのだ。
「もしまだここにいるなら、早く見つけてあげないと。動けない状況かもしれないから、草陰を細かく見て行った方がいいかな……」
「賛成ー。一緒にエルちゃんを探し出そう!」
公園でもう一度探したほうがいいかもしれないと思ったのは、【北楯さくら】と【白井花】のふたりだった。
他の人たちが別の方面からアプローチしてくれている。もしも自分たちの目論みが外れたとしても、他のみんなが何かしら実りのある情報を掴んでくれるだろう。
ふたりにはそんな確信があった。
この一件で調査して回っている協力員とは、初対面の人も多い。それでも、これまでのことからそれぞれが何かしらの貢献をしていて、もう少しでこの一連の出来事も終幕を迎えそうだというところまできているのを肌で感じる。
「ここからそれぞれ、半周ずつ手分けして探していこう。反対側で合流しようね」
「あいあいさー!」
空から雨雫が落ち続ける中、明るい声で白井花が手をあげる。
そして、ふたりはそれぞれ反対の方向につま先をむけ、エルの姿を探し始めた……。
――しばらくして。
反対側で合流したふたりは、顔を見合わせる。
「いなかったね……」
「そうだね……」
「ところでそれ、なに?」
北楯さくらは、白井花が大事そうに両手で包み持っている何かに視線をむけた。
とたん、白井花は満面の笑みで答える。
「ふっふっふ! よくぞ聞いてくれました! じゃじゃーん!」
ぱっと開かれた手のひらの中には、ころころとたくさんの。
「木の実!」
「………………どうするの、それ」
「炒って食べる」
「食べるの!?!??!?」
「ふふふ、冗談だよ〜」
冗談といいつつ、あとで本当にやりかねない……と思わず凝視してしまった北楯さくらであった。
調査の成果として「両手いっぱいの木の実」を抱えつつ、ふたりは喫茶へと戻るのである……。
担当:繭
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