STORY

幸せのカタチ 第三話【個別リアクションC:不審者を探し出す】

不審者確保の功労者

不審者を追いかけて外に飛び出した人たちは、目的の人影を見失ってしまった。
けれど一瞬の悩みで足を止めることが愚行であることは百も承知のため、全力で道を走りながら各々が思考を巡らせる。

「あんなバカみてえな格好したヤツだ。人の目に嫌でも目につくはずだから、聞き込みすりゃ追い詰められんだろ」と呟いて、通りすがりの数名に素早く聞き込みをしながら突き進んでいくのは【新原修司】である。

「とにかく直感で走る!」と人影が向かったと思う方向に駆けるのは【白井花】。

駆け出した最後の1人である【北楯さくら】は、2人よりも少しペースを落としつつ思考を巡らせていた。
(一番その不審者さんについて詳しく聞いて、見かけているのは私。何か手がかりになりそうなこと、私なら思い出せるんじゃないかな?)
走り続けて呼吸も荒い。さらにペースを落としながら、いったんポケットからハンカチを取り出して汗をぬぐう。
「……あっ!」
手元のハンカチを見つめて声をあげた彼女は、改めて足に気合を入れて駆け出したのだった。

*****

「……ついに見つけましたよ、不審者さん」
「ふ、不審者? 誰に向かって言ってるんだ」
「どう考えてもあなたしかいないじゃないですか……」
しどろもどろに言葉を返してくる目的の人物に嘆息して半眼になる北楯さくらであった。
不審者の話を聞くと、どうやら姫の婚約者、フィアンセであるとわかる。
「あなたが? 姫の?」
「な、なにかおかしいかい?」
「……いえ、なんでも」
それにしてはオドオドしすぎだろうとツッコミを入れたくなったが、お姫様の婚約者ということはこの人もその世界ではそれなりに高位の人間なのではと思い、北楯さくらは咄嗟に口をつぐんだ。

「あーっ!」
「……一足遅かったみたいだな」
聞き覚えのある声に振り返ると、新原修司と白井花が肩で息をしながら合流する。
「さくらちゃん、見つけるの上手だね!」
「この人が持っているものを思い出したから」
「なにかあったか?」
新原修司の問いに、北楯さくらは不審者━━自称・お姫様の婚約者━━のポケットあたりを指差した。
「香水の染み込んだハンカチを持っていたと思って」
なるほど、と納得する2人。

少し話すだけで、この男性が「不審者」と思われているのがなんとなく察せられた。
オドオドしているのと、他力本願な節が言葉の端からも伝わってくるのだ。
思わず「自称」なんてつけたくなってしまった北楯さくらの感覚は間違っていない。
「ていうか、話を聞いてたら思ったんだけどさぁ」
目的の人物を目の前に、白井花は他の2人が心に留めておいたことを代弁する。
「お姫様の婚約者にしては、あまりにも頼りなさすぎじゃない?」
――ずばりと率直に言えてしまうのが、彼女の美点である。

担当:繭

あなたたちの辿った道筋、体験した物語を、ぜひ他の方にも教えてあげてください。
合言葉を忘れずにね。

Xにポストする