STORY

幸せのカタチ 第三話【個別リアクションB:Vの世界で】

犬の心、人知らず

平野と一緒にVの世界を訪れた4人は、十が何を訴えているのかをどうにかして突き止めたいと模索する。
うーん、と各々が頭を悩ませている中、真っ先に動いたのは【中田田中】だった。
「Vの世界ならきっと動物の、特に犬の獣人、犬系彼女…もいるかもしれない。その人に十の翻訳を頼もう!」
ちょっと探してくる! と賑わっているところに突撃していった。

その行動を見て、(別の世界の扉の神様ならわかるんだろうけれど、難しいかなぁ…)と考えを巡らせたのは【北楯さくら】だ。
「私も少し探してきます」
平野に一声かけてから輪を離れ、近くにいたVの住人にこう話しかけた。
「すみません、パクチーさんという方はいらっしゃりませんか…?」

次に動いたのは【にーと】だ。
「同じく、少し聞いてきますねぇー」
先の2人とは違う方向に歩き出し、見かけた住人に聞いてみる。
「あのぉ、十くんが何か言いたそうにしてるのだけは、分かるんですけど。わかるひとっています?」

「……みなさん行っちゃいましたねぇ」
「そうですねぇ」
「わん!」
十のそばに残ったのは、平野と【白井花】である。
「ばらけすぎても混乱しそうですし、ここで3人を待っていましょうか」
「賛成です!」
平野の提案に元気よく手をあげて同意を示す白井花は、足にじゃれついてくる十と目線を合わせる。
「十くんの言ってることがわかると楽なのにねー」
「わん、わんわん!」
「わかるようになれって? 無茶振りですよ十くーん」
「わふ!」
「うーん、……ワンワン、ワフ!」
「わん!」
「ワン、ワン!」
「……えっと、白井さん。もしかして会話できてたり……します?」
「やだなぁ、全然当てずっぽうですよ! 残念ながら全くわかりません!」
「わん!」
「だからわかったら苦労してないんだって。わあっ!?」
まるで窘めるように吠える十に反論した白井花の頬を、十は抗議をするかのように舐める。
「あはは、くすぐったいよ十くん〜!」
「………………やっぱり意思疎通できてるように見えるのは、気のせい、なんでしょうか……」

******

……聞き込みに行った3人が戻ってきた時には、顔をべしょべしょにされている白井花と、なぜか遠い目をして三角座りをしている平野がいたらしい。

「犬系彼女さん、いまちょうど不在だった」
がくりと肩を落として報告する中田田中の膝に、十がぺしりと前足をあてる。遊んで欲しいのかそのままぐるぐると回り始めた。
「パクチーさんはいたんですけど……」
「ワンワン!」
「あっ!」
北楯さくらの言葉が終わる前に、十がさくらの来た方向に駆け出していく。
慌てて十を追いかけた一同は、十にやたらと絡みつかれているパクチー氏の姿だった。
「わああー、お前また食いついてきて! やめなさいこら! このジャケットも蝶ネクタイも大事な一張羅なんだから!」
「……十はパクチーさんが大好きなんですかね?」
「それが、ここ最近やたらとこう戯れてくるようになりまして……あっこら爪立てるな!」
「好かれているというより、追い剥ぎ……」
白井花の呟きにそろって頷いてしまう面々であった。
けれど、なぜ十が急にパクチー氏に執拗に絡むようになったのかについては分からないままである。

担当:繭

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