STORY

幸せのカタチ 第二話【個別リアクションC:Vの世界】

吟遊詩人との邂逅

十を探してVの世界に訪れた【白井花】、【にーと】、【北楯さくら】は、ハープ弾き吟遊詩人Vライバーとして活躍しているオウル・ノーグの姿を見かけ、思わず駆け寄る。
オウルは近づいてきた3人ににこやかな微笑みで応える。
「あの、あの! 聞きたいことがあるんですけど、先に1曲、お願いできないでしょうか……!」
逸る気持ちを抑えるように精一杯冷静さを保ちながら、そう懇願するのは北楯さくらだ。
吟遊詩人にお話を聞かせてもらうなら、お仕事もお願いしなければ。お願いしたい、という北楯さくらの心境を察したのか、オウルはにっこりと笑みを深めた。
「君の心遣いに感謝するよ。それに応えて、定番のものと、即興で短いものをひとつ……」
「えっ! 2曲も!?」
「そ、即興!?」
落ち着いた口調で紡ぐオウルの言葉に食いついたのは、北楯さくらだけではなかった。
即興で新たに披露してくれるという言葉に反応したのは白井花だ。彼女はおもむろにどこかから楽器を取り出す。
本当にどこに忍ばせていたのか、いきなり現れた楽器に北楯さくらとにーとがぎょっと目を向ける。
「あのあの、もちろん追加でお支払いするので! もし可能でしたら、即興でセッションさせていただけないでしょうか……!」
白井花の懇願に、オウルはきょとんとした表情を浮かべた後、とても喜ばしいことのように顔を綻ばせた。
「きみも音を紡ぎ奏でる者なんだね。こちらこそ、ぜひお願いしたいよ」
「ほ、本当にいいんですか!?」
「もちろん。では先に、定番のものから」
オウルの指が、そっとハープの弦に添えられる。心なしか、周囲に一瞬の静寂が満ちたように3人は感じられた。
指が弦を撫でるたび、清涼な音色があたりに広がる。周りにいた他のVライバーたちも、オウルの演奏が始まったことで邪魔しないように距離を取ったり、逆に見物に寄ってきたりとそれぞれの反応を見せた。
定番のものを数節だけ奏でてハープからゆっくりと手をどけたオウルに届けられた拍手の音は、話しかけてきた3人だけではとても足りない量だった。
「では、次の即興はご一緒に」
オウルが白井花を誘うように手を差し出すと、彼女は恐縮と感激の入り混じった顔で、オウル・ノーグの脇に立つ。
「ありがとうございます、よろしくお願いします!」
奏者のふたりは、視線をひとつ交わらせたあと、それぞれの愛器に指を添えた──。

「さて、聞きたいことがあると言っていたね。なにかな?」
「あっ、どうもー。おつかれさまですぅー。十くん、なんかよく分からない箱持ってきちゃったんですけどなんかご存知ないです?」
感動と余韻に浸っている北楯さくらと白井花の代わりに、場の流れを見ながらずっと機を窺っていたにーとが本題を切り出す。
「十が? よく分からない箱、かぁ……」
逡巡するように顎に手を添えて小首を傾げるオウルの次の言葉をじっと待つにーと。
しばらくして、ぱっと笑顔になったオウルは、3人にこう告げたのだった。
「独特の強い香りを持つハーブが目印の人に、何かを訴えるように鳴いていたことがあるようだね」

独特の強い香りを持つハーブが目印の人 とは。

担当:繭

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