青空まであと一歩 第二話【個別リアクションC:四季の森公園に足を運んでみよう】
私の歌を聴けーっ!
四季の森公園は自然も動物も多い。直接見つけられなくても、何かしらの痕跡や、目撃情報が得られるかもしれないと思った者たちが、思い思いに足を向ける。
中野セントラルパークイースト側からの入口にたどり着いた彼、彼女ら4人は、偶然鉢合わせる。見知らぬ相手もいる中、効率よく回ろうと二手に分かれることを相談して決めたのだった。
──イベントステージと事務局を調べるのは、【白井花】と【北楯さくら】。
──噴水のある広場で聞き込みをするのは、【山嵜裕也】と【千代子】。
噴水広場までの通り道に事務局もあるため、4人は途中まで一緒に公園内を歩いていく。
事務局の近くにくると、北楯さくらが率先して職員の人に話しかけに行った。それを皮切りに、自然とそれぞれ気になる場所に分かれる。
「私はイベントのスペースを見に行ってみるね!」
「では、僕は噴水のほうで聞き込みをしてみます」
「私も一緒に行かせてください」
白井花は颯爽とイベントスペースのほうに駆けていき、山嵜裕也と千代子がともに噴水広場のほうに向かう。
3人を見送った北楯さくらは事務局を覗き、人当たりの良さそうな話しやすい職員に声を掛けてみる。
「この公園で、野良猫がよくいる場所はありませんか?」
「いろいろありますねぇ……あちこちで見かけるので、特段どこが、というのはないですねぇ」
「そうですか……ちなみに、白い猫を見かけたりしませんでしたか?」
「いいえ、特には……」
収穫はなしか、と思った矢先、あっ、と職員の人が声を上げた。
「少し前に、女の子と白い猫が一緒に遊んでいたのは見たことありますね。なんで覚えていたのか? そこまではちょっと……」
お礼を伝えて、事務局をあとにした北楯さくらは、噴水広場とイベントスペースの方向にそれぞれ一度視線を向けた後、ひとりで向かった白井花のほうに合流することにする。
そのころ、噴水広場にいる一組の親子に千代子が話しかけていた。
「あの、急に申し訳ありません。白い猫を探していまして……。見かけたりしていませんか?」
「え……?」
千代子と山嵜裕也を振り返った母親は、ふたりをみつめて少し警戒をしているようだ。
「しろいねこさん?」
ぽそりと繰り返した幼児の目線に合わせるように、山嵜裕也はそっと地面に膝をついて頬をほころばせる。そして、少しの悲しみを浮かべながら優しくその幼児に答えを返した。
「そうなんだ。白い猫さんを大事にしている飼い主さんが、探しているからね。どうにかして、見つけてあげたい」
「そっか、あのねこさん、まいごだった?」
「白い猫を見たのかな?」
親が必要以上に警戒しなくて済むよう、一定の距離をあけたままにして千代子も同じように腰をゆっくりと落とす。
「あのね、にじむらちゃんとしろいねこちゃん、いっしょにあそんでた。でもさいきん、ここにきても会えないの」
虹村という名前が出たことに、千代子と山嵜裕也は顔を見合わせた。それ以上の情報は出てこなさそうだったので、その親子に丁寧にお礼を告げて、噴水広場を後にする。
「ここに、虹村という子とエルは来たことがあるみたいだ」
「最近会えないというのは、エルが行方不明だからでしょうか」
得られた情報と推測は分けて報告すべきだが、推察しなくていい理由にはならない。他の人たちが得た情報を早く聞くために店に戻ろうとするふたりであった。
──ひとり、イベントスペースに向かった白井花は、北楯さくらが迎えに来るまでの間、イベントに乱入して「アニマルヒーリング効果があるはず!」と宣言し突発リサイタルをしていた。
なお、SNS上で「四季の森公園で(色んな意味で)すごい歌声が聴けるぞ!」と、ごく一部で注目を浴びたようだが、本人が気づくことはなかった……。
担当:繭
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