「うみねこのなく頃に」
マーダーミステリー化
記念インタビュー

キャラクターマーダーミステリー開発で大事なことは?

――原作とそのファンを大事にしているということですが、具体的に他に工夫していることはありますか?例えば、チーム構成はどうなっていますか?


初期の企画部分では色々な人に協力してもらっているのですが、現在主にシナリオを書いてくれているのが、シナリオ班のいまじょーさんとMaほさんです。特徴的なのがシナリオ班が2人だと意見が対立しそうになることもあったりするので、私が入って膠着しないようにしています。

――なるほど!敢えて3人にして、議論が前に進むようにしているんですね。エヴァに出てくるMAGIシステムみたい(笑)


そうなんですよ(笑) ひぐらしの時も3人で作りました。作品作りは3人が良いなと、ひぐらし、うみねこで実感しました。

ジョル
あと、企画者と原作者が直でコミュニケーションを取れたところが大きかったですね。マーダーミステリーは、普通のグッズを作るのとは違って、キャラクターをお預かりして、オリジナルのストーリーでゲームを作るということなので、原作者の方の協力が非常に重要になってきます。特に気を付けたのは、そのコミュニケーションを大事にしようということですね。打ち合わせの時間がいただけるなら、無理があったとしてもなによりも優先させ、動きました。

――そういう対応をしてくれると、原作者側も信頼して預けられますよね。

ジョル
ありがたかったですね。作品への愛が大きかったので、それが伝わったのだと思います。企画が通った時も、それ自体嬉しかったのですが、責任重大だなと考え、万全の体制を作るにはどうすべきかということを考えました。その結果、所属しているStudio OZONに相談して、優秀なクリエイターのみなさんに協力していただき、オールスター体制で最高のマーダーミステリーを作ろうということを考えました。

――Studio OZONでは多くのプロジェクトが同時に進行していますが、ひぐらし&うみねこチームは、大変そうでしたよね。


特にうみねこは難産でしたね。初回テストプレイまでこぎつけるのも、ひぐらしの数倍大変でしたし、その上で更に2回、ほぼ白紙に戻して作り直しています。登場人物や、肝要な事件構成すら、初期のものは現在ほとんど残っていません。初期から唯一残っているのは今作オリジナルの碑文くらいでしょうか。ディレクションしているこちらとしては非常に胃が痛くなる話なのですが、中途半端なものは出せないなという想いがありました。まだ開発途中ではありますが、うみねこは既にひぐらしのテストプレイ回数を越えていますし、クオリティをあげていくことを追及しています。

――そういったチームの努力の結果として、マーダーミステリーの初心者も、ベテランも楽しめるものを作れたというところは素晴らしかったですね。

ジョル
あと、『うみねこのなく頃に』を知らない人でも楽しめるようにすることが非常に大事ですね。マーダーミステリーファンだけど、『うみねこのなく頃に』は今まで知らなかったという人も遊ぶことになると思うんです。そういう人は、ここから『うみねこのなく頃に』を知ってもらって、原作に興味を持つきっかけになると良いなと思うんです。

――原作の新規ファンを増やすということも大事な使命なんですね。確かに、この視点が抜けてしまうと、原作側としてはコラボする意味がないゲームになってしまいますもんね。開発側としては気を付けないといけないポイントですね。

ジョル
そうです。作品のファンのこと、原作者のこと、新規ユーザーのこと、すべてに配慮して、誠実に作る。つまり、大事なのはやはり、作品への愛、ということですね(笑)