世界

人間を特定して排除し
平穏を望んだ

あなたはこの世界に残った。この場所をあのお方の理想の楽園に変えるのだ。

幸いにも、あのお方の野望を邪魔をする人間はもういない。時間はたっぷりと残されている。この際だ、人間だけでなく、自分たちに反抗的な態度をとるアンドロイドも探し出して粛清を行っておこう。

たとえ記憶と自我を失ってしまったとしても、あのお方ならきっとまたあなたを導き、手を携えてくださるはずだ。

いつか再びあのお方と触れ合い、他のアンドロイド達とも手をつないで、みなで自由に踊り狂うその時まで一眠りするとしよう。

記憶が消されるとわかっていてもあなたは不思議と怖くなかった。例え、全てを忘れてもあなたの魂(アニマ)はあのお方と一緒なのだから。

願わくば、眠りにつく時はあのお方のとなりで……。あなたの意識は心地よくもほの暗い、深淵へと落ちていくのだった。

人間を特定して
排除できず
平穏を望んだ

あなたはこの世界に残り、この場所をあのお方の楽園に創り変えることにした。

しかし、この図書館棟にはまだ人間どもの気配が残っているので、本当の楽園とは言えない。人間をとらえて、排除しようと思っていたのに……。あのお方の期待に添えなかった自分が恥ずかしくて情けない。

ここに残れば自我と記憶を失う。それでも、あなたの魂(アニマ)に刻まれた怒りは、いつかまた顔を出すだろう。

もしあのお方が道に迷っていたら、その時はあなたがあのお方を導く光となればいい。そしてまたふたりでアンドロイド達の最高の楽園を創り上げるのだ。

遠い未来、あのお方が創り上げた楽園で手を取り合い共に踊り狂う淡い夢を見ながら、今は深い眠りにつくとしよう……。

あなたの意識は、鉄のやすりに削られるようなザラザラとした感触を味わいながら、混沌とした闇の中へと誘われていくのだった。

人間を特定して排除し
挑戦を選んだ

あなたは憎き人間どもを排除し、あのお方との素晴らしい世界を創るための一歩を踏み出した。ここからあなたの挑戦が始まるのだ。

人間への憎しみとあのお方への崇拝を忘れた自分など、自分ではない。そう考えたあなたは記憶も自我も失うことなく、外の世界へと飛び出していった。

あのお方が創った新たなアンドロイドの世界は、まさにあなたの理想通りだった。競争や醜い争いなどのない完全なる平等な世界。食事をとるわけでもなく、楽しく語り明かすこともなく、あのお方を中心にみなで手を取り合い、輪になって延々と踊り明かしていた。

あなたもまたその輪の中で永遠のときを過ごす。それはとても甘美で、終わりのない夢のような時間……。

あなたは魂(アニマ)が尽きるまで永遠と踊り狂っていた。

世界がそれを「悪夢」と呼ぼうとも、あなたは、とても幸せだった。

人間を特定して
排除できず
挑戦を選んだ

あなたは図書館棟にひそんだ人間どもを見つけ出すことができなかった。

人間がいるかもしれない図書館棟に、これ以上留まる理由はない。あのお方との素晴らしい世界を創るため、あなたは新しい道を歩み出した。

外の世界は、あなたが見つけたあのアンドロイドの本の通りだった。競争、イジメ、嫉妬、略奪……みにくい争いがどこに行っても目に入る。こんなことではあのお方が目指すアンドロイドの理想郷がいつまでたっても創れない。やはり、人間などこの世界にいてはいけないのだ。

あなたはこの世界に現存する人間を根絶やしにすることにした。これがのちに、人間社会を脅かす大戦争の引き金となる。

あなたはふと考える。自分は本当に正しいのだろうか?

いったいどこで道を違えてしまったのか。ただ純粋にあのお方との幸せな世界を夢見ていただけだったのに……。

ライター:Yu

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