人間だとばれておらず
平穏を望んだ

あなたは人間であることを隠し通した。

しかしアンドロイドと違い、人間の身体はこれからどんどん朽ち果てていく。いつまでも自分の正体を隠し続けるのは難しいだろう。年老いてからあの貧しく枯れた国に強制送還されても、醜い死が待つのみだ。

あなたは迷わず「平穏」を選んだ。これまでに得た知識と技術を使い、折を見てアンドロイドの身体に生まれ変わるつもりだ。人間の脳を持ったアンドロイドとして、この世の喜びや楽しさ、悲しみや苦しみを捨てて暮らしていく。何を心配することも孤独を感じることもなく生きていく。あなたにとって、それは楽園のように思えた。

「生きていれば、いつか苦しみは終わる」

そっと呟く。ああボス、本当に、その通りだったよ。

あなたの魂(アニマ)は、穏やかな光で満たされていた。

人間だとばれてしまい
平穏を望んだ

あなたは人間だとばれてしまった。このままではあの貧しく枯れた国に強制送還されて、辛く過酷な日々が待ち構えていることだろう。

そんなあなたにとって「平穏」という選択肢は抗いようもなく魅力的なものだった。人間として排除される前に、人を捨てて機械の身体を得る。人間の脳を持ったアンドロイドとして、図書館棟で半永久的に働くのだ。幸いにも素体となるアンドロイドは無限に手に入る。どれもこれも修理が必要なほど壊れているが、今の自分にはお似合いだ。

自我を失ったそこには喜びや楽しみはないかもしれないが、あなたを苦しめる悲しみや飢え、孤独もないのだ。

「生きていれば、いつか苦しみは終わる」

今まで幾度も呟いたボスの言葉を口にしてみる。ああ、あれはこのときのための言葉だったのだ。胸が熱くなる。解放の時は、もう目の前だった。

人間だとばれておらず
挑戦を選んだ

あなたは人間であることを隠し通した。

ほっとしたのもつかの間。このままで良いのだろうか、という不安にとらわれる。

たった一人で逃げ出して安寧の地で生きていく罪悪感と孤独感。飢えの苦しみからは解放されたが、あなたにとってここは楽園ではなかった。たとえひもじい生活でも、ボスや他の仲間たちと肩を寄せ合って生活する日々を懐かしく思う。あなたは、人と触れ合いたかったのだ。

だから「挑戦」を選ぼうと決意した。「生きていれば、いつか苦しみは終わる」、それは、人間ならではの言葉だと思う。苦しみを背負い、それでも幸せを求めて人は前に進むのだ。

あなたは人間だからこそ、人の温もりを求めて、旅立つ決意をした。あなたの魂(アニマ)は、確かな光に向かって一歩を踏み出したのだ。

人間だとばれてしまい
挑戦を選んだ

あなたは人間だとばれてしまった。あなたには2つの選択肢が差し出された。すなわち、人間を捨ててここに残るか、人間として出ていくかの、どちらかだ。

人間を捨てるということは、アンドロイドに改造されるということだ。そちらを選べば、苦しみから解放されるかもしれない。そう考えた瞬間、あの国での暮らしが蘇る。

貧しく辛い日々だったが、ボスやその仲間と小さな部屋で肩を寄せ合って笑い合う、ささやかな幸せの時間が、あの場所には確かに存在していた。あなたは、人と触れ合いたかったのだ。

「生きていれば、いつか苦しみは終わる」

そして、生きているからこそ、喜びを感じることができるのだ。最期まで人と共に、人として生きたい。あなたは人間として生きていくことにした。目の前の未来に向かって、確かな一歩を踏み出したのだった。

ライター:とんとん

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