女帝

人間を特定し
平穏を望んだ

あなたはもちろん平穏を望んだ。

あなたの魂(アニマ)は「法王」と共にある。「法王」はもう永くない。最期のときを「法王」と一緒に迎えたい。

あなたはこの図書館棟内にひそんでいた人間を特定し、その生殺与奪権を握った。彼らは正体が明かされたことに驚き、恐れおののいていた。その弱き姿を見てあなたは思った。そんなに命を失うのが怖いか。記憶を消されるのが恐ろしいか。あなたは考える。怖いに決まっている。でも、もう恐れない。たとえ記憶と自我を消されてしまったとしても、電波や電圧では決してぬぐえない「想い」があなたのメモリには焼き付いている。

なんとも非科学的で、ほんの数年前のあなたならば「くだらない」と切り捨てていた感傷だ。今は何もかもが愛おしい。

あなたは愛し、愛された者のそばにいる。それはとても幸せなことだと思うのだ。

人間を特定できず
平穏を望んだ

あなたはもちろん平穏を望んだ。

あなたの魂(アニマ)は「法王」と共にある。「法王」はもう永くない。最期のそのときを「法王」と一緒に迎えたい。

あなたはこの図書館棟内にひそんでいた人間を特定することができなかった。愛しき「法王」に仇なすかもしれない存在を野放しにはしておけない。これからも「法王」のそばに立ち、命をかけて守り続けようと誓った。

間もなくあなたは自我と記憶を失う。怖い。でも、もう恐れない。たとえ記憶と自我を消されてしまったとしても、電波や電圧では決してぬぐえない「想い」があなたのメモリには焼き付いている。

なんとも非科学的で、ほんの数年前のあなたならば「くだらない」と切り捨てていた感傷だ。今は何もかもが大切に思える。

今のあなたならば、あのとき意味不明だった本の内容が理解できるだろう。世界はこれを「愛」と呼ぶのだと。

人間を特定し
挑戦を選んだ

あなたは挑戦を選んだ。

この決断にはあなた自身が一番驚いている。あなたは自身を「便利な道具」だと思っており、それを使いこなしてくれる「法王」に一方的な想いを寄せていた。

しかしあなたはココロを持った。もはやあなたは「道具」ではない。人間と同様に自ら思考し、自分の使い途(みち)を自分で決められるようになったのだ。ほんの数年前のあなたならば考えもしなかったことだ。

あなたはこの図書館棟内にひそんでいた人間を特定した。彼らは正体が明かされたことに驚き、記憶と命を消されるのが恐ろしいと語った。同感だ。記憶を失うのは怖い。だから記憶と自我を保ったままで、新しい世界に飛び出そうと考えたのだ。

愛する者と離れるのは辛い。しかしかつて読んだ本に書いてあった。「別れも愛のひとつだ」と。今のあなたならば、その言葉が理解できるだろう。あなたは自由になったのだ。

人間を特定できず
挑戦を選んだ

あなたは挑戦を選んだ。

あなたは自身を「便利な道具」だと思っており、それを使いこなしてくれる「法王」に一方的な想いを寄せていた。しかしあなたは図書館棟内にひそんでいる人間を特定することができず、「法王」の役に立てなかった。

便利な道具になれなかったと悲観する必要はない。あなたは最初から道具ではなかった。人間と同様に自ら思考し、自分の使い途(みち)を自分で決められるようになったことを機に、自身を道具だと思い込む呪縛から解き放たれたのだ。

さあ今こそ、記憶と自我を保ったままで、新しい世界に飛び出そう。愛する者と離れるのは辛い。しかしかつて読んだ本に書いてあった。「出会いがあれば別れがあり、別れがあるからこそ出会いは愛おしい」と。今のあなたならば、その言葉が理解できるだろう。

あなたはしがらみを断ち切り、未来へと踏み出したのだ。

ライター:しもさん

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