雲海、堕ちるところ

一度見れば忘れられない雲海がある。ただし、二度と見ることは赦されない。

かつて「奇跡の大雲海」で知られた山あいの地、鴉谷。
谷を埋め尽くして流れる白い大河は、一度見れば忘れられないという。新聞に載ったその光景を求めて、観光客が押し寄せた時期もあった。だが、誰ひとりとして雲海に出会えないまま評判だけが薄れ、客足は遠のいていった。谷にいくつもあった集落は次々と姿を消し、今では黒澤村ただ一つを残すのみである。
幻の雲海を見るため、あるいはこの土地を調べるため、四人の男女が村を訪れた。迎えたのは、四人の村人たち。ささやかな歓迎の夜、村長は穏やかに言った。
「夜はクマが出ます。あまり出歩かないように」
二日目の朝。雲海を見に森へ入った一行は、思わぬ出来事で散り散りになる。
やがて、静まり返った森に三発の銃声が響いた。その音を頼りに辿り着いたのは、地図に載っていない廃集落だった。
廃集落の広場の中央には、黒く焼け焦げた死体が一つ、横たわっていた。
谷を見下ろす空に、雲海はまだ、一度も姿を見せていない。

  • プレイ時間180分
  • プレイ人数(GM含まず)6名
  • 販売価格¥3,500
  • ゲームマスターの有無不要
  • 作者カメレオン工房